まぶログ

脱サラ、移住、起業、地域活性化、まぶログのリアルな体験記

空海は生きている!②「世のため人のため」

今回の高野山研修では諸先輩方のご尽力により
高野山のトップ、宗務総長の御法話を拝聴する機会を頂いた。

私は宗教に全然詳しくないので、事の大きさを理解していなかったが
政治の世界で言えば総理大臣にお会いするようなことだそうだ。

待つ間はピンと張りつめた空気。

しかしお越しなると一気に場が柔らかくなる感じがした。

「せっかく福岡からお越しなので普段聞けないような話をしましょう」


冒頭よりお話下さったのは
東北大震災で被災された方々の体験談の数々。


津波から逃げる際、カーナビとは逆の方向に行くように指示する声が聞こえた」


抗えない程強いその指示の通りに逃げた結果、何とか助かった。

カーナビの通りに行っていたら間違いなく津波に飲み込まれていた。

しかしあの声の主は誰だったのか。

家族に話すと「曾ばちゃんが90年前に津波で亡くなった」ことを知らされた。

間違いなく、曾ばあちゃんの声だろうと。


このような体験話が山ほどある。

それも日本だけではなく、世界各国で起きていると。


身体は朽ちても、魂は共にある。

我々と一緒に今を生きている。

このような話をすると、お叱りを受けるそうだ。


「その魂を成仏させて極楽浄土にお連れするのが寺の仕事だろう」


一方で古くより、日本の阿弥陀如来は山を越え出づるように描かれてきた。

それは念ずれば、阿弥陀如来も降りてきて下さり、
「共にある」という教えを後世に伝えたかったのではないか。


決して成仏していない訳ではない。

魂はどこか遠くにあるのではなく、一緒の空間を遍満している。

千の風に。
「私のお墓の前で泣かないで下さい。そこに私はいません」

ではなくてこう考えてみたらどうだろうか。

「あなたがお墓の前で祈るであれば、私はそこに参りましょう」

最後に話されたのはある男性のお遍路さんに起きた奇跡。

自分の娘の目が見えなくなってしまった。

決して信仰がある訳ではないけど、お遍路に出た。

途中、ある札所近く、畑の下から声をかけられる。


「お遍路さん、この娘の目をさすって下さい」


聞けば自分の娘と同じように、目が見えないそうだ。


その娘のお婆さんが
「同行二人」空海と共に歩くお遍路さんにあやかり
孫娘の目を治してもらおうとしたのだ。


「自分でいいのであろうか…」

戸惑いながらも
自分の娘を重ね合わせて、その娘が無性に愛おしくなり、一心に願った。


治るように、必死に願った。


そのときその一瞬、
男性は弘法大師空海その人であった。


その後その娘の目が治ったかどうかは分からない。


お遍路から家に戻ると「お父さん!」と走ってくる娘の姿に驚いた。


娘の目が治っていた。


この家族は弘法大師に選ばれた。

では何故選ばれたのか。


結局は自分だけではなく、誰かのために尽くした人が選ばれるのであろう。


総長はそのように話を結ばれた。


「御国のために世のために尽くす館友いくそばく」


とは修猷館の館歌にある一節。


決して宗教の中だけの話ではない。

魂が繋がっていることを感じた。

 

(つづく)