まぶログ

脱サラ、移住、起業、地域活性化、まぶログのリアルな体験記

地魚BANKと産み出すローカルイノベーション

昨日は九州大学でお話する機会を頂きました。

駅前のバル常連様のある先生に

「学生に地魚BANKについて話して下さい」

とお店でご依頼頂き
全然良いっすよ~と安請け合いしたのですが
蓋を開けてビックリ。

「新たなエネルギービジネスのアイディア創出とビジネスモデル構築合同研修」
(兼 水素エネルギーシステム専攻『技術マネジメント』)

水素エネルギー関連で世界最先端の研究が行われている
九大工学部水素研の皆様と九大ビジネススクール様とのコラボ研修。

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この講義での基調講演を頼まれてしまいました・・・

しかも私の前には
エネルギー分野のベンチャービジネスファンド?
グローバルビジネスヘッド?錚々たるご経歴の方
が東京、オランダからオンラインで講義。

その後、

リアル講義で、

地魚と私・・・

そして講義の後、学生達はグループワークで
ビジネスプランを練るという・・・

だ、大丈夫か??

いや違う。

こういう展開でこそオレは燃える男だったはずだ・・・!!

私のテーマは

「地魚BANKと産み出すローカルイノベーション

いやぁ燃えましたね。

久しぶりにアドレナリンが出ました。

みっちり1時間超、自分の持てるもの全てを置いてきたつもりです。

本当なら、そのまま残ってワークにも参加する予定でしたが
早々に九大を後にして高速で博多へ。

コロナで延期になっていたスタッフの結婚式に参加しました。

12時半からの披露宴、九大から会場到着したのは12時27分!ギリギリ!

いやぁ久しぶりに焦りましたね。

絶対に間に合わないと行けない戦い。

光栄なことに、乾杯の挨拶を頼まれていたので・・・

安全にぶっ飛ばして何とか間に合ったと
早速乾杯の挨拶。

他のスタッフからは「くれぐれも短めに」
と言われておりました。

結婚式のスピーチ、余興、数多くの修羅場を潜って参りましたが
実は乾杯の挨拶は初めて。

ですのでシンプルに言おうと思っていたのですが・・・

同じテーブルの加茂さ〇から

「馬淵、分かっとるやろうな」

と悪魔のささやき。

正にご指名を受け、席を立った瞬間にそんなこと言われたら、、

やるしかない!

そこでとっさに浮かんでしまったネタは

博多華丸・大吉

博多の古い諺

えぇスベりましたよ。

シーンどころかキーンって音がするくらい、スベりました。

せめて加茂さんとのりりんさんは笑ってくれるかと思ったら全然笑ってない・・・

それでもめげずに勇気を持って乾杯させて頂きました、、

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笑顔一杯、幸せオーラ全開の素晴らしい式でした!

夜は駅前のバル。

僕を講義に招いてくれた先生が
わざわざお店にお越し下さいました。

「馬淵さんの話、最高でしたよ。学生達も喜んでましたし、その後のディスカッションも盛り上がりました」

おぉ・・・
嬉しすぎる・・・
乾杯の挨拶でスベったのが一気に吹き飛びました。。

ちなみに僕がローカルイノベーションを起こすために
必要だと思うこととしてお伝えしたのは

①作用反作用の法則を打ち破る0.0000001ニュートンの力

②地域からの信用

③「目標達成型」と「天命追求型」

自分達がローカルイノベーションを起こしているなんて
とても思えませんしそれを目的とすることはこれから先もありませんが
もしローカルでイノベーションが起こるとすれば、
上記の3つは必須だと考えます。

そして講義の最後には僕が大切にしている

「知性は勇気のしもべである」

という言葉を紹介させて頂きました。

最先端の技術やビジネスの世界には馴染まないと思ったのですが

「ちょうど昨日東大生とのオンライン講義でその話をしたんですよ!」

と、ある先生からも賛同頂きました。

どんなに素晴らしい知性を持って
考えられたビジネスプランや技術でも
勇気を前に臆すれば、
誰かを喜ばすことなんて絶対に不可能だと思います。

安定やノーリスクが当然のように最善だと
叫ばれている中、例え小さな一歩でも
勇気ある挑戦こそが、人間を人間たらしめると思えて
仕方が無い今日この頃。

そう、乾杯の挨拶だって勇気をボケようじゃないか!笑

いつか昨日の参加者の方のどなたかと一緒に
仕事が出来る日が来たら、そんなに仕合わせなことはありません。

きんなかなっとうまめも

糸島地魚ツーリズム推進協議会。
(Itoshima Fishery Tourism Promotion Association)

昨年度より
農林水産省の農泊(渚泊)推進事業に採択され
活動しております。

コロナの影響で、観光・宿泊事業は大きな影響を受けていますが

「糸島の漁師(生産者)が、伝統的に行ってきた漁業(生産活動)の中で育まれた
「考え方(≒漁法や取り組み)」を発信し、共感してくれるお客様を増やすと同時に、
そのお客様に対するサービス(体験、飲食、加工品、宿泊等)を産み出すことで、
今までとは異なる価値形成に挑戦する」

という目的は1ミリも揺らいでおりませせん。

こうやって一同に集るのは久しぶり。

それでもプロジェクト毎に連携しながら
確かに一歩づつ事業は進めております。

昨日は改めて昨年度成果の共有と
今年度事業の進捗、さらには今後の展開について協議しました。

協議会後の懇親会も大盛り上がり。

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盛り上がり過ぎて、飛び交う糸島弁が全く分からない!笑


ただ協議会の中核団体である弊社にとっては
これまでの活動の成果をお披露目する場でもあります。

「駅前の魚屋さん」で販売予定の「地魚惣菜」
あき郎さん直伝の「地魚握り」や
山口シェフ秘伝の「糸島ブイヤベース」
デザートには「枝豆ジェラート

をお召し上がり頂きました。

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どれも本当に喜んで頂き一安心。
引き続き渚泊の目玉として、育てて行きたいと思います。

中でも「枝豆ジェラート」は
実際に枝豆を作っている松﨑さんが参加していたこともあり、
「これは美味い!」「もっと売ったら良いのに!」と大注目。

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ただ例年同様、枝豆の収穫期=稲刈りシーズン
で人出が足りなくて今年はもう収穫は終わりとのこと。

「もう枝豆は食べられんと?」

「いえ、見た目はきんなかなっとうまめばってん味は美味しいです」

「そんなんもったいないやん!」

「人が足りなくて・・・」

「このジェラートが作れんくなるやんか!じゃあ俺らが明日行くたい!」
「私達も行きたい!」

ということで
今朝8時半から協議会メンバーで枝豆の収穫!

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本当にみんな(加茂●ん以外)来た!笑

それにしても楽しい!
通常農業の収穫体験は日中がメインですが、
朝の収穫がこんなに気持ち良いなんて!

急遽決まった収穫体験ですが
農泊事業としても収穫がありました。

枝豆は房にばらして水洗いして脱水するところまで
しっかりやりました。

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後は茹でた枝豆を一つづつ房から出し、
ミキサーで潰してから(この作業が大変!)、
ロイターマーケットさんに美味しいジェラートに、
食べる直前にまたいちの塩をかけて出来上がり!

今年は船越のカキ小屋でも食べられるかも?

作業後は松末稲荷神社にお参り。

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この景色、この空間を作り出す一次産業の価値、
キロいくらで測っていたら、もったいない!

新型コロナ禍でも黒字を実現した飲食店の挑戦⑤

第5回目は「武器を増やした」

そういうと少し仰々しく聞こえるかもしれませんが
簡単に言うと「できることを増やした」ということです。

どうせお店を開けることが出来ないのなら
お客さんが減って暇になるのなら、
その間で少しでもレベルアップしよう。

そう思ったのは、私達だけでは無いと思います。

今までやりたいと思って
中々挑戦できていなかったことに取り組みました。

一つは「寿司修行」

もちろん私自身も修行しているのですが
もう一人「投資した」で紹介した新入社員U君も
調理経験がほとんど無い中、寿司修行にも連れて行っています。

魚も満足に捌けなかった彼に
あえて用意した寿司修行という舞台。

本来ならば無謀なことかもしれませんが、彼を抜擢したのは
法隆寺最後の宮大工、西岡常一さんの著書
「木のいのち木のこころ」の内容を覚えていたからです。

 「若い子にはひとまず大きな仕事をさせろ」

正確な表現やその理由は忘れましたが、
若いうちあ出来るだけ大きな仕事をさせると
とにかく「伸びしろ」が一番大きいので
他の細かい基礎的な技術にも楽しく向き合うことが出来る
と、私なりには理解していました。

当然失敗も物凄いです笑。

寿司を教えてくださる師匠にはお付き合い頂き申し訳ないのですが
彼の真っすぐに取り組む姿勢に「初心を思い出させてもらっている」と
言って下さいます。本当に有難いことです。

もちろん、誰しもがこのいわば劇薬を飲ませるようなことに
耐えられるわけでは無いと思います。

普通に考えれば無茶苦茶ですし、今の時代はパワハラにもなるのでしょうか?

彼とはきちんとディスカッションして、前向きに戦えると判断したからこそ、
寿司修行に連れて行くことにしました。

実際に、彼の成長は目覚ましいです。僕もおちおちしていられません。

他のスタッフもそれに刺激を受けて、仕事に取り組んでくれていると思います。

武器を得る過程でまた武器を得る。

本当に楽しく取り組ませて頂いております。

 

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もう一つの武器は「糸島ブイヤベース」

駅前のバルや地魚ツーリズムの柱となるような
新しい名物料理として「糸島ブイヤベース」を開発中です。

と言ってもこれは自ら仕掛けた訳ではございません。

さかのぼること3カ月前。

福岡にもコロナの脅威が押し寄せ始めた3月31日。

ホテルニューオータニのシェフで
博多ブイヤベースの会を主宰している山口シェフから

約5年ぶりにメッセージが届きました。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

最近立ち上げられました、地魚BANK、良く理解はしてませんが、
ワクワクする取り組みだなー、と感じています。その中で

「未利用魚の商品化にも挑戦します。」

との一節が目につき、メールしています。

糸島では、普通は売り物にならない、雑魚と呼ばれる小魚たち、安く安定して入るものなんでしようか?網にかかった、ベラやらなんやらのトロ箱ででよくたたき売られている小型の雑魚たち。(中略)

私の特別な料理で、ブイアベースがあります、これは通常の作り方と違い、「本場マルセイユ憲章にのっとった作り方の物」。日本でもこのスタイルで作れる人は、私の弟子を含めて何十人もいない?福岡では3人くらい?かと思います。

これまで博多福岡の新しい郷土料理にしよう!と、博多ブイアベース、としてご紹介してきました。

これは消してはいけないレシピ、福岡の食文化に貢献出来る料理。

最高に美味しいブイアベースなんですが、(中略)市内の魚屋さんでは、中々雑魚は手に入らない。しかしブイアベースの火を消したくない!残したい!

とは言え、昨今の状況でこれからどうなるのかわかりませんが、このレシピはなんとか残したい、と言う思いです。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

To山口シェフ

大変ご無沙汰しております。 

結論から言えば小型の雑魚は入荷しております。安定的かと言われれば、禁漁期間や時化等で入荷が無い場合もございますが、直売所には今日も小アジ、メバルアラカブ等入荷しておりました。また5月からエビ漕ぎ漁という小型の底引き網漁が解禁されるのですが、この漁にはエビはもちろん小型のイカやたくさんの小魚が入ります。

ただ当方の目指すところはこれらの「安くなりがちな」地魚の価値を高めることで漁業を持続的に支えようとするものです。

できるだけ仕入れ値を高くする代わりに極上の地魚物語を伝え、付加価値をつける挑戦をしておりますので「安く」にどこまでお応え出来るかは分かりません。

(中略)そこでご提案なのですが是非一度「糸島ブイヤベース」を作って頂けないでしょうか。

例えば材料費は地魚BANKが負担、直売所でシェフと私で仕入れ地魚BANKの加工場「地魚ラボ」もしくは「駅前のバル」にて山口シェフに調理して頂き、主に地魚BANKの会員様を対象に糸島ブイヤベースを味わうイベントを開催する。

(中略)昨今の状況、非常に厳しいものがありますがグローバルからローカルに目を向けざるを得ないチャンスと思っております。昨年末、スペインのバスクに視察に行って参りました。オンダリビアの「世界一美味しい魚介のスープ」を食べる予定が、諸般の事情で食べられませんでした。今思えば、山口シェフのスープを食べるための運命だったのかもしれません。 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

なるほど!そう言う考え方がありますか。

いくつかクリアすべきこと、がありますが、賛同致します!

どう言う形にしろ、ブイアベースが伝えられるなら、感謝です。

(中略)

博多ブイアベースとはいえ、実際の素材は野菜も含め糸島ではないか?と思います(笑)

日本で一般的なブイアベースは、タイなどのアラを炊いてクリアなスープをとるのですが、私のは、雑魚をウロコも内臓も付いたまま、炒めて、野菜と煮込んで、ミキサーにかけます。海の旨味が詰まった海の豚骨スープのようなスープを取ります。つまり、四季折々、取れる魚、食べてるエサなどにより、味が変わります。

そのスープに、別に焼いたり煮たりした魚介類をそえ、野菜をそえます。そして締めは気取らず、おじや、が最高です。

(中略)

 まずは糸島へ視察を兼ねて伺います。

 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

このようにして始まった糸島ブイヤベース。

「世界でこのときこの場所でしか飲めないスープ」

期せずして、素晴らしい武器を手に入れることが出来ました。

この武器を活かすも殺すも、今後の我々次第。

今年は宿泊事業にもチャレンジします。

新型コロナ禍でも黒字を実現した飲食店の挑戦⑥

最終回は「夢を売った」

 (つづく)

 ※写真は糸島ブイヤベース。
糸島地魚ツーリズムの一つの目玉として育てたいと思っています。

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新型コロナ禍でも黒字を実現した飲食店の挑戦④

第4回目は「仲間の夢を全力で応援した」

まずは前回コラムの「投資した」の続きです。

一つ目の投資先は「人、スタッフ」
残り二つは「本」と「新しい店舗」です。

「本」については特に起業して以来、ずっと安定的に続けている投資。

ただこの期間はペースが普段の倍以上。

 基本的に私は「読書のすすめ」以外では本を買いません。
http://dokusume.com/modules/store/

この本屋さんについて話せば長くなりますが
この本屋さんと出会って居なければ、
今の私は居ないし、もしかすると会社はとっくに潰れていたかもしれません。

それくらい影響を受けている本屋さん。

お陰様でいつも本当に素晴らしい本と出会わせて頂いております。

3月からの約4ヶ月で読んだ本は50冊以上?
金額にすれば約10万円分といったところでしょうか。

もはや数や金額はそれほど意味は持たないように思います。
それほど読書は私にとって生活の一部であり、人生において大切な時間です。

それは
「答え」ではなく「問い」を見つける読書。
「横糸」ではなく「縦糸」を紡ぐ読書。
「横野郎」に陥ることなく「垂直」を立てる読書。

 本を通して触れあった先人の魂、生き様、物語に
どれだけ勇気をもらったか分かりません。

結果的にこのコロナ禍においては、
その「勇気」こそが唯一の「答え」であったようにも
思っています。

もう一つの投資先は「新しい店舗」。

これについては追ってきちんとご報告(というかご相談)
させて頂きますが、地魚BANK、新しいお店を作ります。

 コンセプトは「子供が通いたくなる町の魚屋さん」

「飲食店を辞めた」ことでたくさんの可能性が生れました。

 「人に投資した」ことでビックリするくらい新しいスタッフ
にぴったり合った物件とのご縁を頂きました。

家賃も安かったことから、即決で契約。
金額的には一番大きな投資になるでしょう。

地魚BANKの可能性を信じ、地域の人に喜んで頂けるサービスを
全力で表現する舞台を頂いたと思うとワクワクが止まりません。

さて続いてこの間、私が挑戦したこと。

 それは

 「仲間の夢を全力で応援した」

飲食営業で試行錯誤したり地魚BOXを開始したりと自分達の事業で目一杯な4月上旬。

実は一番時間を費やしていたのは「仲間の夢への応援」。

これについては会員様向けメルマガでは詳細を書いてしまいましたが
書いた後、非常に恥ずかしく思いました。

陰徳とするべきことが陽徳になってしまい、一気に野暮ったくなりました。

従いましてこのブログでは敢えて書かないこととします。

少し「願掛け」の意味もございます。どうかご容赦下さい。

ただ一つ言えることは
誰かに何かをしてもらうよりも
誰かのために力になれることは、
本当に仕合わせなことだということです。

それはコロナ禍においてこそ、一層強く感じるのです。

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新型コロナ禍でも黒字を実現した飲食店の挑戦③

第3回目は「投資した」

飲食店は完全にリモートで出来る仕事ではありません。

もちろん
テイクアウトやドライブスルー方式にシフトすることで
接触割合を減らすことは出来ますが
料理を作るためには厨房に行かないといけませんし
食材を仕入れるためにはお店に行かないといけません。

飲食事業をしてる間は出来るだけ体力のあるスタッフや私が
接客をするようにしていました。

多少なりとも「命の選択」をしている自分に戸惑いました。

既往症のあるスタッフは仕込みだけの出勤に切り替えるなど
少しでも感染リスクを抑えようとしました。

程なくして全店の飲食営業を停止しました。

そのスタッフ以外だって
離島から通勤しているスタッフもいれば
家族にお年寄りやガン患者を抱えるスタッフもいます。

私の家にも小さな子供が居ます。

誰しもが、少なくない不安を抱えています。

一方で「安全」と「安心」は別ものであることも忘れてはなりません。

安全とは科学的に裏付けられたもの。
安心とは精神的なもの。

そもそも直売所という人がたくさん訪れる空間にある職場です。

いくら飲食営業を停止して地魚BOXの販売のみに切り替えても
感染リスクはゼロにはなりません。

つまり飲食営業停止は科学的には安全とは言えないものの
精神的な安全を選んだだけに過ぎません。

現在のコロナ対策はこの双方がごちゃ混ぜになっているように思います。

本当にそれで安全なの?と思えるようなことでも
安心のために「仕方無くやる」「みんながやっているからやる」
という常識が蔓延してしまい、もう、どうしようもありません。

結論から言うと、既往症のあるスタッフはコロナではありませんでした。

飲食店営業を停止してから1週間後の発症、
幸か不幸か、違うウイルスに感染していました。

ウイルスはその性質上、
同時に2種類のものに感染することはありません。

コロナ的には安全であることが分かり、一安心するのも束の間、
健常者なら2、3日で治る病気でも
結果的に一週間丸々休むことになりました。

その間の給料は当然払うことになります。
ただそれはコロナ前からそうでした。


感染リスクを減らすためには休ませたい
給料を払うためには商売を続けないといけない。

 
多くの人がこの二つの思いの狭間で今もなお、揺れ動いていると思います。


どうせ誰も正解が分からないのなら
政府の指示や行政の指示、無責任な誰かの意見ではなく、
自分達で決めようと思いました。

営業自粛後、再開に向けて
スタッフのご家族向けにこんなメッセージを送りました。

 *************************

 (株)いとしのいとしまスタッフご家族様へ

 平素よりお世話になっております。株式会社いとしのいとしま代表取締役馬淵崇です。

スタッフの皆様におかれましては、日頃より弊社事業に多大なるご貢献を頂き誠に有難うございます。今般の新型コロナウィルス感染拡大に伴い、弊社におきましては

・志摩の海鮮丼屋:4/14~5/6

・駅前のバル:4/9~当面の間

飲食営業の自粛を決めております。

しかしながら食品を扱う事業柄、在宅勤務が難しく、一部スタッフには出勤をお願いしており、この間もリスクがゼロだった訳ではございません。

スタッフ自身はもちろん、ご家族の皆様にも不安を与えておりますこと、またご連絡が遅くなったことをお詫び申し上げます。

ご承知かとは思いますが、当初5/6が期限であった緊急事態宣言は延長される見込みでございます。福岡県での感染者数は減少傾向と発表されておりますが、今後も引き続き感染リスクがゼロになることは考えづらいでしょう。

弊社としましては、出来る限りの安全対策(注文口、返却口にビニールシートの設置、来店者のアルコール消毒の徹底等)と、人員体制を増員することで身体負担軽減による健康管理、感染リスクの低減等を行った上で、今後の営業につきましては以下の通り、考えております。

・志摩の海鮮丼屋:5/7より営業再開

・駅前のバル:当面の間休業

さりながら、情勢はめまぐるしく変わります。皆様の大切なご家族の命を預かる者として、出来る限りの安全を確保出来るよう、臨機応変に対応して参ります。

上記方針を踏まえ、今後の勤務につきましては、一人一人のご事情に合わせて決めて参ります。本来ならば、直接会ってお話しすべきことですが、この状況下ですので別の手段で個別に連絡させて頂きます。現スタッフ全員を雇い止めすることなく、今後も引き続き雇用出来るよう、長期的な視点の下、全力を尽くして参りますので、ご理解の程何卒宜しくお願い申し上げます。

また、不謹慎に思われるかもしれませんが、この新型コロナウィルスは弊社にとっては大きなチャンスでございます。正に第二の創業だと思っております。

「うまい魚をこれからもずっと」食べられる社会を目指す中で「地域で100年後も喜ばれる商売」を実現するべく、今後もスタッフ全員の力が必要です。

何より、この状況下においても、お客様はもちろん漁師、農家、地域から「必要とされる仕事」に日々向き合っているということだけは、ご理解下さいますよう、会社を代表してお願い申し上げます。

令和2年5月4日        
株式会社 いとしのいとしま
代表取締役 馬淵 崇 

*************************

覚悟は決まりました。

しかし何とか自粛期間中のマイナスを取り戻そうと反転攻勢に出ようにも、
営業自体がままらない状態。

それならばと考えたのが「投資」

投資先は大きく分けて三つ。

 一つめは人、スタッフです。

この状況下、少しでも人件費を抑えたいところですが
今安易に給料を下げてしまえば士気が下がります。

苦しいのは会社だけではありません。スタッフだって生活があります。

また弊社のような小さな会社の最大の資産は人だと思っています。

給料を労働の対価と考えると、労働がままならないと、低くしようと思ってしまいます。
一方で「一番手堅い投資先」という側面もあると思います。

社員の給料はそのまま維持。出勤時間が減っていたパートの皆さんには少しですがお見舞い金もお支払いしました。

また4月1日の時点で、仮入社していたスタッフも
5月1日付けで正社員として雇用契約を結びました。

飲食経験は全くありませんでしたが、
弊社に入社するまでは宿泊事業に携わっており、
海外経験も豊富で英語もペラペラ。

ニュージーランドの大会で柔道チャンピオンになった経験もあり
就業条件で真っ先に「体を動かす仕事が良いです」と言う
バリバリの体育会系。

コロナの影響で勤めていた宿泊事業会社が倒産したという
不可抗力ではあるものの、

昨年より地魚ツーリズム推進協議会として
インバウンド向けの宿泊事業への展開を模索している中、
願ってもみない人材でした。

本当は2ヶ月ほど前職の給料を保証した上で
今後についてはゆっくり考えるという緊急措置的な雇用でしたが
真摯に仕事に取り組む彼の未来に投資したいと思い、
1ヶ月前倒しで正社員採用を決めました。

偶然にも私の大学の後輩でした。学部、学科まで同じ。

このスタッフへの投資は、後に様々なご縁や奇跡を巻き起こすのですが
それはまたの機会に話すとして、他のスタッフへの影響も大きかったと思います。

今後の経営に不安をもたれてもおかしくない中、
会社として新規採用という「攻めのメッセージ」を出したことは
とても多くのポジティブな効果をもたらしたと思います。

 

二つ目の投資先は・・・
(つづく)

 

新型コロナ禍でも黒字を実現した飲食店の挑戦②

第2回目は「最速で新しい事業を立ち上げた」

 

コロナの影響が出始めたのは4月からでした。

実際3月末の3連休はGW並に忙しかったです。

おそらくコロナのリスクを避けるため、春休みの遠出が難しくなり
近場の観光地として、糸島が選ばれたのではないかと思います。

しかし「コロナバブル」も束の間、4月になって福岡でも感染が拡大し
政府による緊急事態宣言が発表されると、事態は急速に悪化しました。

ご承知の通りほんの一日前まで普通に出来ていたことが、出来なくなりました。

飲食営業に関して言えば
縮小して営業するのか、どんな感染予防対策をするのか、
スタッフのシフトはどうするのか、自粛するのか、
常に判断を迫られる状況。

お店を開けている間は、お客様にお越し頂いておりました。

売上げはいつもの半分くらいでしたが、開けないよりはマシです。

そもそも志摩の海鮮丼屋に関して言えば、自粛対象の夜の営業でもありませんし
実際、他の飲食店(特にチェーン店系)が人で溢れているのを見る度に
自分達はどうすべきなのか、本当に悩みました。

「飲食店は生活に必要なインフラ」と言ってくれる仲間も居れば
SNSを中心に「飲食店は自粛すべきだ」という声も溢れておりました。

あのとき、何が正解だなんて誰も分からなかったと思います。

であれば「黙る」という選択肢もあったのではないでしょうか。

無責任な言葉・情報に、人知れず、どれだけの人が悩み、傷つけられたか。

私は仲間の飲食店と顔を合わせる度に、その痛々しい傷口を見ていました。

しかし人を変えることは出来ません。であれば少なくとも
我々地魚BANKは不安や恐怖を煽るのではなく、勇気と喜びを広げたいと思いました。

この頃、様々な飲食店で「テイクアウト」が始まっていました。

店舗営業が出来なくなった以上、非接触型の商売として
藁をもすがる想いだったと思います。

 「エール飯」など、消費者の間でも支えようとする動きが始まりそれは今も続いています。

私達も始めようかと思いましたが、海鮮丼のテイクアウト・・・

お寿司ならまだしも、鮮度の良い地魚は一度切ってしまえば
時間が経つと水分が出てしまい、食感も変わります。

どうしてもいつもの味をお届けする自信が無かったですし
基本的には生を扱っていますので食中毒のリスクも高くなります。

 それに「エール飯」も次第に応援というより
「何処の店がお得か」という論調に変わったように思います。

 それは仕方の無いことだと思います。みんなが苦しいんです。

であれば他の飲食店とシェアを奪いあっても仕方が無いと思い、
テイクアウトは辞めようと決めました。

 それでも

 「テイクアウトみたいのされないんですか?」

 と会員様からの問合せが相次ぎました。

我々を応援して下さろうというお気持ちがヒシヒシと伝わりました。
本当に有難く、嬉しいことでした。

 この時ほど地魚BANKをやって良かったと思えたことはありません。

 一方で

「自宅で美味しい魚を手軽に食べたい」

 という確かなニーズも感じることができました。

そこで
①会員様(≒ある程度魚料理が出来るor興味がある)が喜んで下さる商品。
②コロナが収束した後も新しい事業の柱として続けられる商品
③他の飲食店と被らない商品。

というコンセプトの「地魚BOX」が誕生しました。

決断してからは早かったです。

全スタッフを集め、

「全店の営業停止の決定」「全員の雇用の継続」「地魚BOXへの挑戦」を伝えました。

さらには「今日が第二の創立記念日です」と宣言しました。

会員様から「テイクアウト的なサービス」のご要望があったのが4/3(金)
それから準備をして最初の販売が4/10(金)でしたので、
ちょうど一週間で新しい事業を開始しました。

少し格好を付けてビジネス的に言うと

・スピードは最大の付加価値
・会員制サービスによる迅速な顧客ニーズの把握
ブルーオーシャンを選んだ

 等、色んな捉え方が出来るかもしれません。

ただそもそも地魚BOXの前身となるような取り組みは既に実施済みでした。

そのときは郵送料の高騰(人出不足)や梱包の手間、

「価値は産地にあり」

とのポリシーの下、糸島に来て、糸島で地魚の魅力を味わって頂く商売に
集中しようと一旦断念しました。

しかしコロナ禍のような「背に腹は代えられない」危機的状況は
あらゆるメンタルブロックを外してくれます。

そしてスピード感を持って新しい仕事を始めるのはメチャクチャ楽しい!

元々志摩の海鮮丼屋も、わずか1ヶ月でオープンさせたお店。駅前のバルもそう。

時間が無いと「本当に売れるんかいな・・・」とか
ネガティブな感情になっている暇すらありません。

しかしトラブルはたくさん起きました。

商品を入れ忘れて次の日にもう一度宅配したり配達指定日を間違えたり、
誕生日に間に合わなかったり・・・ご迷惑もたくさんかけてしまいました。

それでもミスが起きる度にスタッフには

 「新しいことに取り組んでいる証拠です。思い切ってやって下さい。責任は僕がとります」

と言いました。言ったからには責任を取ります。

雨の中、再配達、ビルの上層階に駆け上がったり
こちらのミスで大切な食事に間に合わなかったお客様に謝罪の電話をしたり、
お代を頂かないこともありました。

それでも自分達にとって大きな喜びは

 「この状況下でも、もとめられる仕事が出来る」

 ということでした。

仕事ってお金を稼ぐのも当然大事ですが
誰かに喜んでもらえるかどうかが一番大事だと思います。

少し哲学的な話をすれば

 「人はパンのみに生くるにあらず」とはイエス・キリスト

 「魂とは肉体を拒絶するなにものかである」とは哲学者アラン。

もちろん肉体的にはコロナは怖いけど、
それでも自分達には「誰かのために出来る仕事」がある。

なんて仕合わせなのだろう。

会員様からは

「いつも前向きな姿勢に元気をもらいました」

同業者の中には

「色々大変なのに、何も言わずに、ただ前を向いて挑戦してる姿を見てたら涙が出てくる」

とまで言ってくれる方もいました。

自分達の挑戦が、生き様が、他の誰かが生きる支えになる。

もしかすると今までの人生で一番、「人間」として生きていることを
実感しているかもしれません。

しかし、コロナはそんなに甘くはありませんでした。

怖れていたことが起きてしまいました。

十分に気を付けていたはずなのに。

よりによって既往症のあるスタッフが体調を崩してしまいました。

新型コロナ禍でも黒字を実現した飲食店の挑戦①

新型コロナ禍の中で断固として決めたこと。
それは

 「今期(弊社は7月決算)の黒字化」

飲食業を主たる事業としている弊社にとって
この状況は簡単な状況ではありません。

営業自粛の影響は大きいし自粛が解除された今(令和2年5月26日)も
客足は戻っていません。おそらく今後元通りになることは無いのでしょう。

つまり現時点での見通しは立ちません。
それでも今後の事業展開から逆算すれば
どうしても今期(単期)は黒字にしないといけない。

逆に言えば
この状況下で結果(黒字)を出せば
今まで取り組んできたことや
そのときのメンタリティは
ある程度「価値のあるもの」と言えるのではないか。

未だ結果も出していないのにしかも今期だけで
偉そうに語るのは気が引けますが
何せ今まで誰も経験したことの無い未曾有の事態です。

今までの正解が不正解で不正解が正解になるかもしれない。

いっそのこと未来を先に決めてしまってから
それに向かって歩みたいと思ったのは
自らを鼓舞する意味合いもあるかもしれません。

重ねて言いますが今後の売上げに関しては非常に読みづらい状況です。

ですが全く見通しが立っていない訳でもございません。

そのような中、望みたい未来から逆算して然るべき結果へと導こうとする
非常に自分勝手なコラム。

偉そうなことを書いておきながら
結果が出ない可能性は重々にあるのですが
その場合は私が恥をかけば良いだけ。

それよりも皆様に私達の挑戦を知って頂くことの方が
はるかに価値があると想い、筆を取らせて頂きます。

前置きが長くなりましたが

 「新型コロナ禍でも黒字を実現した飲食店の挑戦」

について計6回でお知らせしたいと思います。

 
第1回目のサブタイトルは「飲食店を辞めた」


いきなり元も子も無い話です。

ただ実際、新型コロナ禍になる前から

 「飲食店を辞める」ことは決めていました。

それは「飲食業界の構造的な限界」に身をもって気付いたからです。

弊社は現在2店舗を経営しています。

どちらも小さなお店ですが
お陰様で「コロナ前」は連日多くのお客様に
お越し頂いておりました。

周囲からは「儲かって仕方無いでしょ?」と言われることもありましたが

いつも内心では「そんな単純じゃないのにな・・・」

と思っていました。

当然ですが売上げが増えれば支出も増えます。

スタッフの給料は増やさないといけないし
社会保険料は年々上がるし、消費税は上がるし
その中でも出来るだけ、漁師さんから良い地魚を高く買いたいし
地魚だけしか使いたくないし
お客様には出来るだけリーズナブルに提供したいし・・・

相反する想いの中で揺れ動いてきた9年間でした。

スタッフの給料について言えば
飲食店で給料を上げようとすると
店長などの管理職ポストを担ってもらうことになります。

もちろん一つの店舗に複数は必要ありません。
また現場でバリバリ働きながらの管理職というのも
せいぜい40代が限界でしょう。その上のポストも必要になります。

ということは理論上、
永遠にお店を増やし続けていかない限り
スタッフの給料をあげることは難しくなります。

もちろん給料をあげるためだけに
 「飲食店を辞めた」と言っている訳ではございません。

 以下2018年の年頭所感として全スタッフに配布した内容です。

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株式会社いとしのいとしまは、飲食事業という枠を取り払い、地魚に関する総合信用事業を行って参ります。昨年より取り組んでおります「地魚BANK」を展開し、飲食だけに限らない地魚サービスを創出することを生業として参ります。

もう少し具体的に言うと
「地域で100年後も喜ばれる商売」として
「旨い魚をこれからもずっと」食べられる社会の実現のため
「地魚の価値を最大化」することを目的に
「価値を伝え、共感して下さる会員≒株主から資金を集める」ための仕組みが地魚BANKであり
「集めた資金で地魚イベントの開催や加工品、空間創出、飲食コンサルティング」を行い
「ときには地魚共同事業者に出資することで推進力」となり
「会員様を絶えず喜ばしながら囲い込んで離さない」という仕事をして参ります。

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それから2年が経ち、未だ未だそのような会社とはなれておりませんが
少しづつ近づいていると思います。

そういった意味ではそもそもコロナ禍の前から準備をしていたとも言えます。

その判断が正しかったかどうかは未だ分かりません。

ただ、もしこのとき、
飲食店であることに固執して
地魚BANKに挑戦をしていなかったら
今頃弊社は潰れているか
スタッフの一部を解雇せざるを得なかった
ことは間違い無いでしょう。