まぶログ

脱サラ、移住、起業、地域活性化、まぶログのリアルな体験記

百笑屋という漢との仕事

現在、地魚BANKが取り組んでいる
地魚に合うワイン造りプロジェクト。

ワインの醸造はもちろんのこと
それを建てる事業用地の確保、
醸造に使うブドウの栽培、その畑の整備、
乗り越えなければならない課題は山ほどあります。

まず、用地の確保については
法律や地目、規制等、様々な縛りがあります。

これについては
糸島市役所の担当部署の方々が
本当に親身になって向き合って下さったお陰で
何とかクリアすることが出来ました。

問題はその土地を「ちゃんと使える状況」にすること。

建設予定地は元々農地だったのですが、うっそうとした山林状態になっていました。

ブドウ栽培予定地は長年耕作放棄地だった場所を開墾。

建設予定地に建物を建設できる状態にするのにいくらかかるのか、
ある建設会社に見積もりを頼んだところ・・・


な、なんと2,000万円!!!


限られた予算、建設前にそんなお金をかけられません。

早くも事業継続困難かと途方にくれてドン底に居た
私達を救ってくれたのが百笑屋の松崎治久さん。


「そんなことにお金はかけなくて良いですよ。僕がやりますから」


いや、2,000万円かかるって言われとるとばい。

本業の農家以外にも様々な地域のデゴトで忙しかろうもん。

能力的に出来ることは分かるけど、時間も無い中で無理を言うし
さすがにタダというワケにはいかんよと。

 

「それは有難いけど、とりあえずせーので委託金額ば言い合ってみよーよ。せーの!」

 

馬淵:「●●円!」治久:「●円!」


何で支払う側の俺の方が高い金額言っとんねん!


そもそも本業の建設会社さんでさえ2,000万円かけても
本当にその金額で収るのかも分からないような難工事。

具体的な金額は書けませんが、とんでもなく破格だったので
私が提示した金額でお願いすることに。それでも破格の金額。


彼がやる!と言って出来なかったことは、一度も無い。


そう、それはあの牡蠣小屋の解体の時も目の当たりにしています。

(私も少し手伝いましたがすぐに根を上げてしまいました・・・)

やると決まってからの百笑屋さんは凄まじいの一言。

建設予定地は既にほとんどフラットに。

「本当にあの状態からここまでしたんですね・・・」

と建設会社さんも驚く程の仕上がり。

 

昨日は畑の整備方針の打合せ。

のはずでしたが、どうもアポイントが上手く取れていなかった模様。

 

「午前中は現場なので午後一からでお願いします!」

 

忙しいことは重々分かっているので
そこらへんは作業の組み替えで柔軟に。

通常、ワイン用ブドウ栽培はハウスや棚、レインカット用の資材等を
建設してから苗を植えていくのですが、
そんなにあれもこれも同時に進められる程の資金はありませんので
我々は段階的に進めて参ります。

まず、約500本の苗を育てるための苗床を整備し
1~2年はポット栽培で集中管理してから、
その間に畑を耕してから定植するスケジュールです。

栽培と醸造のコンサル契約をしているTさんは
最低でも1ヶ月に一回は現場に来て下さっていて昨日はその日。

元大手酒造メーカーで醸造と栽培を担当していたTさん。

今現在もいくつも畑の立ち上げや栽培に関わっているため
素人の我々にも的確に教えて下さいます。

まずポッド植えに際しての土作り。
これもお金があれば色んなことが出来るのですが
我々は出来るだけ現地のマテリアルを活用。

栽培予定地の土は少し水はけが悪いので
この土に整備の際に出てきた木や竹で作ったチップを混ぜて、
糸島の牡蠣殻で作られた「シーライム」さらには百笑屋さん自家製魂の堆肥!
を混ぜて排水性と栄養のバランスを整えます。

苗の添え木も、近くに無限にある竹で作ります。

地域資源を上手く循環させることで、
予算を少しでもカットして進めるブドウ畑。

この作業を500本分、4月中旬に会員様のお力も借りながら
実施したいと思っております。

昨年植えた7本(本当は8本でしたが1本駄目になってしまいました・・・)も
掘り起こしてポッドへ移植しました。

根を掘り起こすとしっかりと力強く根付いていて
本当に嬉しかったです。

そうこうしていると松崎さんが到着。

今後の畑全体の整備を踏まえて、
苗床の設置位置や潅水方法、レインカットの骨組み、資材置き場、
搬入路について打合せすると

「ふんふんなるほど。分かりました!」

30分程居なくなったと思ったら、、


「それ」は突如として始まりました・・・


まず搬入口の木の根本を掘り始めたかと思えば
バックホウに乗って木を切り始めて
すぐにそのままチッパーへ。

苗を植えるポッド用の土に必要なチップ、あっという間に揃いました。。

次に運んできたのは・・・


巨大なプレハブ!

「午前中の現場でもらってきました。何処に置きますか?」

いや、突然これだけの作業を始められる段取り力とスピード感とスケール感、
ハンパないな・・・

どの作業も出来ない自分は、ただただ唖然と見ているだけ。

古いけどファミコンの「シムシティ」をやってるような感じで
進んで行く様子を観て全国の様々なブドウ畑の整備に関わってきた
コンサルのTさんも

「こういうことやりますって打合せでは言う農家さん居ますけど、このスピード感で出来る方は居ませんよ・・・」

と驚いておられました。。

「資金を出さない代わりに、畑の整備とかは俺がやるって言いよるやんか!」


痺れたな。マジで。

この心意気に、絶対に負けたく無い。

とは言え、苗床の雨よけ問題、潅水用水問題、電気問題・・・
未だ未だハードルがあります。

ただ資金は少なくとも、知恵と地域のリソースをフルに活用することで
何とか乗り切れるのではないかと、道筋が見えて参りました。

あのときのこれがこれに使われるの?

壮大な伏線回収が始まろうとしています。

このワクワク感、この心意気、想いを共有して頂いた方に
旬の地魚と併せて美味しく飲んで頂くことが
我々のワイナリープロジェクト。


今回は百笑屋さんという漢達との仕事について
ほんの一部を書かせて頂きましたが
他にもたくさんの仲間、漢が力を貸してくれています。

その話は追々書かせて頂くとして、
何とかその想いに応えたいと想って毎日もがいてます。

上手くいかないこともたくさんあります。

日々の飲食営業でも一杯一杯の中、
しんどいかしんどくないか聞かれれば
正直言って、しんどいですと答えます笑

だけど、どうしてもやりたい、実現したいことなんです。

mab-log3.hatenablog.com


上手く行かないことはやり方を変えれば良いだけだろうと。

最近スガシカオの「progress」が頭から離れません。

ずっと探していた 理想の自分って
もうちょっとカッコよかったけれど
ぼくが歩いてきた 日々と道のりを
ほんとは"ジブン"っていうらしい

ねぇ ぼくらがユメ見たのって
誰かと同じ色の未来じゃない
誰も知らない世界へ向かっていく勇気を
"ミライ"っていうらしい

www.youtube.com


あと一歩だけ前に進もう。