まぶログ

脱サラ、移住、起業、地域活性化、まぶログのリアルな体験記

糸島ビアファーム2019の裏側

9/23(月)朝、現場に着いてみて愕然とした。

遠目から見ても分かる。

台風の影響で
松末稲荷の周りの木が折れ
社に倒れかかっている。

生々しい木の幹の色は

「今日はそれどころじゃない・・・」

と想わせるには十分な鮮やかさだった。

「大変なことになっとるね」

治久に言うと

「いやいや逆に燃えるやろ!後で治すけん気にせんといて!」

糸島ビアファームを主催する百笑屋さんは
松末稲荷を氏神様とし、親族一同で代々守ってきた。

古来より日本では自然災害からは逃れられない。

きっと松崎家のご先祖様もたくさんのピンチを
そうやって力強く切り抜けてこられたんじゃないか。

私が言うのは恐れ多いことなのだけど
だからこそ今があるんだと想った。

当初想定していた会場、入り口は
泥濘んでしまいとても歩ける状態では無い。

それでも

「今からユンボで表層の泥をはいで、稲ワラ敷き詰めます!」

そのとき8時。開場まで2時間。

既に決断した眼に、異論を挟む余地は無い。


何とか設営も間に合い
枝豆の提供
サックス演奏、ライブペインティング
え~だ豆号、イノシシの丸焼き
ハンモック、餅つき
予定していたコンテンツも
ほぼ滞りなく終わった。

雨の中でも楽しんで頂けたのは
佐藤先生のアイディアによるところが大きい。

何より今回は選択につぐ選択、決断につぐ決断。

「ビアファーム終了~!」

のかけ声の後、
佐藤先生と治久と私で握手した。

過去9回ではそんなことしなかったと想う。
重圧を乗り越えたからこそ自然に出た握手。


とは言え至らないところも多かったと想う。

一時的に席が足りなかったり
枝豆湯がきでお待たせしてしまったり
開場内の案内も十分には出来なかった。

イベントでも商売でも

「如何に来てもらうか」よりも
「どんな気持ちで帰ってもらうか」

「100人が喜んで帰ってくれたこと」よりも
「たった1人でも顔を曇らせて帰っていないか」に

どれだけ眼を向けられるかで
その後の成長度合いが変わると想う。

「来年はもう一個井戸を掘ります!」

初の自宅開催、想定外の水の消費に
井戸のポンプの水圧が下がり、
トイレなどの利用に支障をきたした。

後者の想いが強いからこそ出た言葉だった。

打上げで治久と話した内容は
以前私が書いたfacebook記事↓について。

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【びしょ濡れのラインマンが教えてくれた商売とビジネスの違い】

朝からスゴイ嵐でしたね…
姫島のフェリーは欠航(スタッフが来られず)
野北の方では停電(スタッフの朝ご飯が炊けず)
案の定、魚の入荷も少なかったので
今日はお客様も少ないだろうなぁと
仕込みをいつもより少なくしていたら…

案の定、たくさんお越し頂きました笑
こういう時の私の予想は大体外れます。

とは言えこんな天気の中、
本当に有難いことでございます。

ちょうど忙しい時間帯、雨カッパを着たびしょ濡れの
Q電のラインマン(広義に送電線のメンテナンスに従事する方々)と
思しき方々がご来店下さいました。

「停電の補修ですか?」とお声かけしたところ
「そうなんです…」とお疲れのご様子。

雨に濡れて冷え切ったお身体、心ばかりのサービスさせて頂き

「実は当店のスタッフの家が停電になって困っていたのですが、お陰様で助かりました。有難うございました」と申し上げると

「それは申し訳ございませんでした。。大変ご迷惑をおかけしました…」
と逆に謝られてしまいました。

こちらは感謝の気持ちをお伝えしたかったのに、
逆に気を使わせてしまいました。
未だ未だでございます。

でもそれだけ誇りと責任感を持って
ライフラインを守って下さっていることは
本当に有難いことだと思いました。

アフリカの某国に1ヶ月ほど居たことがありましたが
停電なんて日常茶飯事。
電気があるときの方が少なかったように思います。

便利過ぎて当たり前になっていることが
実は当たり前じゃなくて、裏で頑張って踏ん張って
働いてくれている人のお陰で成り立っていることを
忘れてはいけない。

そんなことを考えていたら
ふとある方の記事を思い出しました。
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商売や商人という言葉が
日本ではめっきり使われなくなりました。
その代り、ビジネスやビジネスパーソンという言葉が
やたらと使われている気がします。
ビジネスという言葉が使われ出したときから、
売り手と買い手が完全に分けられてしまったように感じませんか?
簡単、すぐに、効率的にというビジネスは、
お客さんから感謝とか思いやりという心を
少しずつ奪っているのではなかろうか?
と僕は思うのです。

売り手=買い手

これが、商売の基本的な考え方です。

売り手であっても、買い手であっても、同じ人間です。
いつその立場が逆転するかもわからない不思議な縁の中で
僕らは暮らしています。

そうした中、最も大切だと思えるのが、売り手の時にいる苦労や大変さを、
今度は買い手になったときに思いやりとして返してあげることだと思います。
ネットで注文すれば、即日に来るというのは、確かに便利で有難いものです。
しかし、その過程にある大変さを想像できなければ、欠落した人間になってしまうと思うんですよ。
便利で助かったから、便利なのは当然という意識になってしまえば、ものすごく殺伐とした世の中になってしまいますよね?
時が経過するほどに便利の有難味は忘れられ、当たり前になってしまいます。
効率的に顔の見えない商売をやれば、結果、このような社会になってしまうのではないでしょうか?

ビジネスとは、かっこいいものでもなんでもなく、こうしたリスクも孕むものですよね。

一生懸命に働くほどに、裏側にある大変さを理解できるようになることが、商人道を歩むことだと僕は思います。
だから、僕はビジネスではなく、非効率な商人道を歩み、人格を磨いていきたいと考えています。
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飲食店を経営する中で
ずっとモヤモヤしていたことが
クリアになりました。
私もスタッフと一緒に
非効率な商人道を歩みたい。

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今回の台風はここ10数年で一番の被害だったかもしれない。

ビアファームに参加する仲間の農家も大きな被害を受けた。

本当はそれどころじゃなかった。

それでもあの場に居た「売り手」と「買い手」双方が
「私」に向き合いながらも「公」を想ったからこそ
素晴らしい時間を共有出来たのではないか。


「農家って大変なんだ漁師って大変なんだ」


そんな野暮なことを言いたい訳ではない。

だけど私には何かを伝える責任があるように想えてならない。

その何かは、魂なのか、生き様なのか、考え方なのか、
実は未だ良く分かっていない。

「撮らんでよか!」

夕方仕事を終え「枝豆売るトラマン」で枝豆を買い
田んぼを通り過ぎると、治磨さんが稲刈りをされていた。

週末にはまた雨の予報。
これから天気の良い間に一気に刈り取るのだろうか。

志摩の海鮮丼屋のお米はこんな風にして出来ている。

私たちはそれを踏まえた上で私たちの商売と向き合う。

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